「点を打ち、線を繋ぎ、面を作る」ことによる業務改善で成果を最大化する
概要・Introduction
業務改善の成果は段階的に達成される。まず『点を打つ』ことで各処理が効率化され、次にそれらを『線で繋ぐ』ことで一貫性が向上し、最終的に『面を作る』ことで全体の業務プロセスが一気通貫のフローとなり、最大の効果を発揮される。という考えの話。
本題
少し前の話になるが、チームで半期を振り返るMTGを実施した際「(ある領域において)最もインパクトのある取り組みは何だったか?」という議論をした。その際、メンバーそれぞれで挙げたネタが異なり、それはとても興味深かったのだが、自分の挙げたネタの根拠を、その時話せなかった部分も含めて書き記しておく。
メンバーの挙げたネタは、例えば「管理画面に表示項目を追加して、作業者の余計な確認作業を減らした」や「重要度の高い業務オペレーションを(短納期で)システム化した」というものだった。対して自分のネタは「内部管理画面に直接リンクする動線を、外部SaaSの画面に設けるためのChrome Extensionを提供した」だった。なぜこれを選んだかを解説する。
まず、背景としてそれまでのオペレーションは以下の流れだった
- ブラウザで外部SaaS画面を開き、必要となる情報(ID的なやつ)を確認する、あるいはコピーする
- 別タブの内部管理画面で、検索フォームに情報を(マニュアル、あるいはペースト)入力してsubmit
- 目的地の内部管理画面に辿り着く
これが以下のようになった
- ブラウザで外部SaaS画面を開き、Extensionによって作られたリンクアイコンをクリックする
- 別タブで目的地の内部管理画面に辿り着く
これは何らかの業務改善を行う際の「線を繋ぐ」成果である。どういうことかというと、業務改善とは、「点を打ち、線を繋ぎ、面を作る」ことでその成果が最大化されるという整理に基づいている。
点を打って、時間短縮
点を打つ、とは例えば何かしらの処理を担うためのピンポイントのソリューション提供である。例として経費精算処理ならば、領収書のPDFをuploadして申請ボタンを押すような画面を作ることだ。これによって、それまで紙で行っていた領主書管理や帳票をデジタル化できる。
線を繋いで、一貫性の向上
線を繋ぐ、とは別々に存在するピンポイントなソリューション(=点)を結びつけ、プロセス全体を通して連続的なデータフローを生み出すことである。 同じく経費精算処理の例でいうならば、オフィスの複合機で紙の領収書をPDF化して自身のemail アドレス( 会社ドメイン) に添付送信する処理と、PDFを添付して申請する処理(=これが前述の「点を打って作った処理」)は別々に実装されている。そのため2つの処理を跨ぐところ、つまり自身のメール受信箱から添付のPDFをローカルダウンロードし、申請処理の画面にアップロードするというマニュアル作業が発生してしまう。領収書をPDFデータにする、申請をweb化する、というアプローチが分断されてしまっているのが課題であり、例えば紙の領収書がスキャンされたら、勝手に申請画面に添付反映されるような処理が「線を繋ぐ」ということだ。
面を作って、プロセス全体を自動化
面を作る、とは線をある業務の端から端(=開始から終了)まで伸ばし切ることの繰り返しで達成できる。つまり一気通貫の処理が連続されることだ。この時には一つの線を繋ぐ作業が1つ(以下)のアクションで完結している。例えるなら、織物を織っていくイメージだ。
縦糸に沿って横糸(=線)を通して行くことで、それがやがて面となっていくことで織物が完成する。

(別解) ボンバーマンで例える
ボンバーマンの初期の火力は弱い、この時ボンバーマンは火力の弱さをカバーするため足が必要で、動き回る必要がある。このボンバーマンの移動範囲こそが点と点、あるいは線と線の間に残っているマニュアル作業だ。
一方火力がMAX状態の時は、一発で画面の端までリーチすることが可能だ。この時ボンバーマンの動きは直線的に進むだけで目的を達成できる。一直線に進みながら各行にボムを仕掛けていった時に描かれる爆発範囲の軌跡を見てみると、面が作れているハズである。

現場において
冒頭のChrome Extensionが「線を繋ぐ」アクションであり素晴らしいと表現したのは、改善案件と称する作業で「点を打つ」ことがとても多いからだ。この理由の一つに顧客からの要望で「線を繋く」要件はほとんど来ないという事実がある。多くの顧客要望は個別機能にフォーカスしがちであるため、要望に応えるだけでは『点を打つ』改善にとどまるケースが多くなる。
例えば線を繋ぐというのの代表はSlack Integrationだ。そう考えると「Slack Integrationを開発してください」と言われることは少ないのではないか。またSlack Integration開発でも部分的な線(面を作るに至らない)の長さになってしまうケースはよくある。どこからかの通知がSlackに届いて結果として「◯◯のところで、XXXをしてください」というようなメッセージが表示されるなら、それは線を端まで伸ばしきれていないことを意味する。なんらかの業務フローの端っこにいるのがSlackでなくてはならない、それが起点でも終点でも良いし、両端であるのが理想だ。
業務改善で成果を最大化とは
「点を打つ」「線を繋ぐ」「面を作る」それぞれに挙げられる成果が異なり、点の成果は「時間短縮」、線の成果は「プロセス一貫性の向上」などが挙げられる。面の成果は「プロセス全体の可視化と追跡性の向上」と「自動化」であり、これによって生産性が最大化される。 そのために必要なのは一つの線の長さがどれだけなのかを正確に理解していることだ、これが業務理解と呼ばれる部分で、これは往々にして「ヒアリング」だけで把握できないことがある。(完全にマニュアル化されている場合は逆にヒアリングではなく、ドキュメント読み込みで可能というケースもある)
とはいえ、最初から線を端から端まで伸ばし切ることは簡単ではない。切ったり貼ったりしながら線を伸ばしていく事の方が多いようにも思える。その繰り返しをいかにスムーズに実施するかもまた必要なスキルである。 CLIにおいてUNIXの哲学に基づいて作業すると処理をパイプで繋いでいけるようなるのと同じように、点の置き方や線での繋ぎ方を意識し、インターフェース設計に取り組むことが重要であり、その積み重ねによって最終的に面を作るための一本の糸が紡がれるのが業務改善と呼ばれる作業だと考える。
まとめ
業務改善の取り組みでは、まず「点を打つ」ことで個別の作業効率が向上し、次に「線を繋ぐ」ことで業務フロー全体の一貫性が確保され、最後に「面を作る」ことでプロセス全体の可視化と自動化が実現できる。それぞれの段階における成果(時間短縮、一貫性の向上、プロセス全体の最適化)は、業務の効率化と質の向上に直接的に結びつく。
Chrome Extensionの導入は「線を繋ぐ」効果を発揮し、業務フローのシームレスな一貫性を確保する重要なステップでしたが、さらにその積み重ねによって、最終的には「面」を形成し、業務全体が見える化・自動化された理想的な状態を目指していきたい。こうした一貫した取り組みが、チームの生産性向上と業務の質的向上に繋がると考えている。